「え~、たいへん長らくお待たせいたぁしました~~、さま~ふぇすた三河安嬢サンバカーニバル、只今よりスタートいたします~~」
初っ端から、なんの捻りも無くマツケンサンバが流れ始めた、亜希子は軽く目まいがするのを感じたが、もう今更どうしようもない、覚悟を決めて踊るしかないのだ。
フィリピン人ダンサーたちは流石に慣れたもので、もうノリノリで踊っている、だが亜希子は露出過剰の衣装の方が気になって、どうしても踊りに集中することが出来ない、
「うわ~、あのおねーちゃん屁っぴり腰だ~~!」
「ネーチャーン、盆踊りみたいだぞ~~~」
「おいおい、マジでホントに素人か!?」
そんな亜希子におかまいなしに、ギャラリーからは容赦ない野次が飛んでくる、
「そ、そんなこと言ったって・・・」
亜希子のアタマの中はもう半パニックだ、そしてそこへ、聞き慣れた北浜の声が飛び込んで来る、
「アキちゃ~~ん、恥ずかしがってるとかえってカッコ悪いよ~~!もうここまできたら開き直ってハッスルだよハッスル~っ!!」
亜希子は「な~にがハッスルだ、元はと言えばお前のせいだろ、この腐れ中年が」
と、思ったが、北浜の言うことももっともである、このままヘナヘナ踊っていては恥の上塗りというか、余計にカッコ悪いだけだ。とにかく周りで踊っているフィリピン人ダンサーについていくだけでもしなければ・・。
亜希子の腰の動きがゆっくりと、しかし確実に大胆になってきた・・・。
客席のヴォルテージもそれにつれてどんどん上がってくる、
「おおっ、いいぞ!もっと腰振ってくれ~~っ!!」
「オッパイ~~~~~!!もっと揺らして~~~~www」