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2019/05/25 (Sat) 20:04
ゆうしゃのぼうけん ~生贄の村 恐怖の大蛸魔神~(67)

「マーリフ!!」
俺はマーリフに目配せをすると、黙ってパルスィートの方を指差した。
奴は困ってるんだか、焦っているんだか、なんとも判断のつきかねる微妙な表情で俺の方を見つめ返していたが、やがて黙ったまま魔神の方を指差した。
“言いたいことは分かったから、今は魔神との戦いに集中しろ”
そんな風に解釈した俺は我に返った。
そうだ、今は眼の前のプリンプリンより、ブヨブヨグニャグニャの方に集中しなければ!
どうもパルスィートの色香に惑わされると調子が狂ってしまう。
何とか正気を取り戻した俺は、改めて魔神と対峙した。

魔神と俺達のにらみ合いはしばらく続いた。
束の間の膠着状態。
お互い動くに動けなかったが、それもやがて終わりを迎える。
均衡を破ったのは例によってサムスンだった。
奴は首を1,2度ほどポキポキ鳴らしながら、ゆっくりと魔神に向かって歩み出た。
そして、
「海鮮風情が人間様を生贄に取って食うなど笑止。
このサムスンが直々に成敗して、ダーハマ名物たこ焼きの具材に切り刻んでやるから覚悟しろ」
そう啖呵を切り、剣を引き抜こうとした、まさにその時だった。

ゆらり・・

魔神の触手のうちの一本がゆっくりと起ち上がった。

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