放痴廃墟

「もしもし、お疲れ様です、三河安嬢の鈴木です。
総務課の宮下さんお願いできますか？」
その日から早速、所謂“女の子ネットワーク“駆使して事業部長情報を集める鈴木さんだったが、調べれば調べるほど、その食わせ物的な実態が浮かび上がってきた。
それは簡単にまとめてしまうと、

1） パワハラデフォルト
2） セクハラ上等
3） コンプライアンスなにそれ美味しいの？

という、惨憺たるものだった。
これではまるで、２０年前のバブルの時、いや、もっと前の高度成長期のサラリーマンではないか。
特に「セクハラ上等」というのがクセモノである。
よくよく聞くとかつて大阪時代は相当、女癖が悪かったらしく、向こうでは
「関西の性欲オバケ」　「エロ妖怪」
などという、有り難くない二つ名まで頂戴していた。
所長の北浜に「実際のところは、どうなんでしょう？」と問いただそうとしたのだが、
「俺、それどころじゃないんだよ、どっさり宿題が出ちゃったよ。事業部長来るまでに、
計画に対する進捗率と、それに対する反省文、今後の行動目標その他諸々を、帳票にまとめて提出しなきゃならないんだよ、全くこの忙しい時に・・」
と、自分の事で一杯〃〃で、まるでお話にならなかった。
「はあ；」
深いため息をつき、増々憂鬱になる鈴木さんであった。