「勇者殿~本当にもう行かれるのですか?」
「ええ、俺達には大魔王討伐という崇高な使命がありますので」
翌朝、俺達は早々に村を発つ準備を進めていた。
俺自身はろくに寝て無い事もあり、もう少しゆっくりしていきたいという気持ちはあったのだが、約一名、一刻も早く村を出たいと強硬に主張するものがいた為だ。
長老は名残惜しいというよりは、殆ど恨めしいというくらいのしつこさで俺達を引き留めていた。
「いやしかし、それでは私どもの気持ちが収まりません。せめて大恩人であるパルスィート様だけでも、もう2,3日・・」
(いやだから、そのパルスィートがとっととこの村を出たいと言ってるんだっての・・)
俺はどうやってこの空気を読まないじじいに断りを入れようかと四苦八苦していたが、上手い具合にマーリフが間に入って話を纏めてくれた。
「ままま、長老、我々はこれからジャンプ呪文を使用する為、魔神の祠に魔法陣を奉納しようかと考えています。そうすればいつでもこの村に瞬間移動することが出来ます。お気持ちは大変ありがたいので、お礼の宴については、また我々が落ち着いてからという事で・・」
「そうですかあ・・本当にまた来てくださいよ?特にパルスィート様にはくれぐれもよろしくお伝え下さい・・」